問題点を指摘しない【練習問題付き】 - キャリアコンサルタントという在り方

周りに相談していない様子が伺えると

私たちは

「周りに相談していないのが

この相談者の問題点だ」

「抱え込んでいるのが問題点だ」

と思います。

そして、解決してあげたい余り

「この相談者が

周りに相談できるようにするには

どうしたらよいか」と考えてしまいます。

そこで

「なんで相談しなかったのですか」

「相談できそうな相手はいますか」

「上司には相談しづらいですかね」

などと聞いてしまいます。

しかし、こう言われたら

相談者はどう思うでしょう。

（相談してこなかったことが

悪いことと思われてるのかな）

（相談しろと言われてるみたい）

と感じるでしょう。

非難・指図と感じてしまうかもしれません。

「相談しろ」と言っていなくても

（相談しろ）のニュアンスだけ受け取られる。

言っていなくても、誘導になってしまっています。

これでは信頼していただけませんね。

勿論、論述の問い3や、面接の口頭試問では

答えてOKですよ。

この相談者の問題点として

「一人で抱え込んでいる」と

答えてもいいです。

ただし、相談者本人に

伝えてしまってはいけません。

気づくよう仕向けてもいけません。

この相談者が、今まで周りに相談しなかったのは

相談しない方が良かったからなのです。

人間というのは、その瞬間その瞬間で

ベストの選択をして生きている

といいます。

相談者にとっては

周りに言わないことがベストだったのです。

あなたから見てベストでなくても

相談者にとってはベストの行動でした。

それをどうか、忘れずに。

相談しないという選択をしたこの方を

尊重し、受け入れることからです。

その上で

相談しないという選択に至ったのは

どういうことからだったのか、

そこにどんなメリットがあったのか、

そして今、何を思うのか、

これからどうしたいか、

どんなご自分になりたいか、

考えていただきましょう。

相談者の中から湧き出てくるものが

ベストの【方針／展開】です。

では今日も【見立てをたくさん立てる練習】を。

選択肢がたくさんあれば

一か所に誘導したり決めつけたりするミスを

回避できるかもしれません。

相談者：20歳男性　　地方都市で一人暮らし　　実家は町村部で父50歳　母46歳　弟17歳がいる

　　　　転職したい。工業高校卒業後、自動車部品製造会社に勤務。工場で金属加工の仕事をしている。高卒で就職だったので、就職先は高校の先生が勧めてくれた所。都市部で一人暮らしをしたいという希望とも合い、就職した。古い工場で、機械も古い型のものが多く、非効率で手間ばかりかかる。不具合も多く、その都度みんなで修繕している。下請けなんて、新しい技術をどんどん取り入れていかないと、いずれ発注主の大企業から切られてしまう。でもそれを先輩に言ったら「じゃあお前が新しい技術を習得して、俺たちに教えてくれよ。そしたら応援してやる」などと言われ、取り合ってくれない。このままこの会社にいても未来がない。でも実家に戻って転職となると、地元に自動車部品製造会社はない。それに高校の先生から「3年は我慢しろ」と言われているので、今転職するのは申し訳ない気もする。

【1】この相談者には、それぞれ何が起こっており、相談者はどういう状態だと想像しますか。相談者の内側を考えましょう。できるだけたくさんの言葉を使って見立ててください。

・古い機械で働いている自分の姿って…

・今の会社にい続けることの心配点は…

・先輩から言われた時の心の中は…

・実家に戻っての転職を考える時の心の中は…

・高校の先生から言われたことを思う時の心の中は…

【2】この方は、どこが変わると、少し楽になると思いますか。あくまでも推察です。決めつけず、できるだけたくさん考えましょう。

【3】この後もし続くなら、あなたはどんな意図で、どんな言い回しで、何を聴きますか。

【1】で相談者の内側の状態を見立てます。

「こうかもしれない」「ああかもしれない」と

たくさん想像しておきましょう。

決めつけはいけません。