さて相談者の問題点に
皆さん気付いたとしましょう。
前回取り上げたように
「自己理解不足」「仕事理解不足」とか
「〇〇という思い込みがある」
「〇〇と決めつけ、確かめていない」
「〇〇に苦手意識をもっている」
「自分に自信がない」とかが
見えてきたわけです。
で、これ、どうします？
よし、じゃあ指摘してあげ…
てはいけませんよ。
わかった、じゃあ気付くように誘導して…
も、いけませんね。
キャリコンから見た相談者の問題は
相談者に気付かせてはいけません。
相談者にとっては、それは
『問題』ではなく『常識』なのです。
「私なんか正社員が務まる力はない。当たり前」
「私は正しくて上司が間違っている。当たり前」
なのです。
『常識』たとえばあなたの常識は？
「太陽は東から上る。当たり前」ですよね。
それを「そう思うのがあなたの問題点よ」と
他人から言われたら、どう感じますか。
「いやいやいや、何言ってんの、
私は正しい、あなたが間違ってるよ」と思いますよね。
受け入れられないです。常識だから。
同じように
「私なんか正社員が務まる力はない。当たり前」
と思う方に
「その思い込みがあなたの問題よ。間違ってるわ」
と言ったら。
相談者さんは優しいので
あなたに合わせてくれるでしょう。
「はいわかりました、挑戦します」と。
でも内心は受け入れられないです。常識だから。
だからもうこのことに、正面から取り組みたくなくなる。
どんどん逃げてごまかして自己防衛していきます。
問題点をわからせようとしてはいけません。
私達が扱うのは、この『問題点』ではなく
『問題の背景にある相談者の考えや価値観』の方です。
相談者の問題（本人にとっての常識）には
本人なりの裏付けがあるのですよね。
あれもあれもあれも失敗した、だから私は失敗だらけ…
正社員はクレーマー処理をさせられる、私は怖くて逃げたことがある…
お前なんか、と幼少期から言われてきた…
だから今の困りごとが築き上げられている。
相談者は、信頼できる人がそばにいる安心できる場で
自らの経験（事柄+感情）を語る中で
この『自分の考えの傾向や価値観』に
気付いていくのです。
「あ、私、いつもこう考えていたな…」
「そういえば、成績良かったこともあったな…」
そこから相談者の考えは広がります。
「正社員でも新人の時は完璧じゃないかもな…」
「今までも初めての業務には挑戦してきたわ…」
本人が自分のことを語り
自分のことを考える中で
自分の特徴に気付いていき
あとは本人が勝手に成長します。
そして数か月後、もしくは数年後に
気付くのです。
「私のあれ、思い込みだったな…」と。
私達キャリコンは、焦らないで。
問題点をわからせようとするのでなく
経験を丁寧に辿っていただいて
ご自身の考え方や価値観に気付いていただく。
そこまでです。
あとは口頭試問で、そっと、面接官にだけ伝えましょう。
「あの方の問題点は〇〇だと私は見立てました」
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ちなみに、問題点の根源、背景の根拠には
とても根深い傷がある場合があります。
本人がそれを直視するのがつらすぎて
蓋をしてきたことかもしれません。
かさぶたを、無理にはがすと、血が出ます。
だから私達が無理にはがしてはいけないし
本人も無意識にそこを避けてきた。無意識に。
でも、もし、もしも
本人がそのかさぶたに、ちょっと触れてみようかと
それが今の問題を解決するために必要なことだと
一大決心をして、傷を直視する勇気を持ったなら
その時
一人ではつらすぎるのです。
だから、信頼できる人がそばにいてほしいのです。
だから、相談者とキャリコンは
信頼関係が必要で
何を話しても受け入れるよ、という安心できる場が
必要なのです。
もちろん初回相談の最初の15分では
それはありません。
でもプロとして仕事をするようになったら
そんな運命の場面に出会うかもしれないのです。
だから今のうちに
キャリコンの基礎の力をつけておきましょうね。
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